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元々作家やらミュージシャンやらのこだわりを解説した本は、それだけで ファンにとっては非常に興味深いものなのだけれど、その人に偏執的なほど 熱愛したアイテムや嗜好があったりすると、それだけで小説を読んでいる様な 楽しさがある。 私は特にヘミングウェイの熱狂的ファンと言う訳ではないが、子供の頃から 理由もわからずに大好きなものがある。それはサファリジャケットだ。 確かに私が小学生くらいの時、ちょっと流行っていたし、父親も何着か 所有していたけれど、そんなパッとしない70年代の日本人的着こなしに 憧れた訳では決して無く(うちの父は着道楽でお洒落ではあったけど)、 どっちかというとそのフォルムなんかよりは、背景というか由来というか、 そんなものに惹かれたのだと思う(かわいくない子供だ)。 人生も晩年に差し掛かりつつある大人が、休暇で訪れるアフリカの大地、 オレンジ色の夕刻にバルコニーで佇む背中にサファリジャケット… 一体何処から子供の私にそんなイメージがインプットされたのかわからないけれど、 私にとってのサファリジャケット=大人、だったことに相違はない。 もう少し大人になって、「キリマンジャロの雪」を読んだ時にやっと頭の中で 色々な事がつながって、ははーん、と思った事を覚えている。 おそらく、雑な言い方だけど私は男のロマン、みたいなものに弱いんだろう。 ハードボイルドも大好きだしね。困ったもんだ。 男のロマンなんて、男の人に任せておけばいいことなのに。 今でもサファリテイストなデザインのスーツなんかを見ると、無条件に好き。 まあ、いいさ。 それにしてもこの本の中の写真に写るヘミングウェイは、どれもこれもすごく魅力的だ。 写真に撮られる事がとても上手。 それは偉大なる才能であって、ロマンティストの面目躍如であると思う。
by mod_only_knows
| 2015-02-22 17:00
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